住宅を購入する方の大半は住宅ローンを利用します。住宅ローンの選び方という記事はたくさんありますが、選び方というのはその人の状況や価値観、物件等によっても変わってきます。
ここでは一般論でなく、あなたにとって最適な住宅ローンをどうやって選んでいけばいいのかという考え方について説明していきます。
読者対象となる方は、現在住宅ローンをどこにしようか迷っている方ですが、これから住宅購入の検討をする方もお役に立てていただけると思います。
住宅を購入するにあたり、住宅ローンはあらかじめある程度決めておいた方が有利に進むこともあるからです。
見た目の金利の安さだけで判断しない
住宅ローンを選ぶ上で、一番判断基準として考え易いのは金利です。物件価格が非常に高額なため、金利が0.1%変わるだけで金利が数十万変わることもあります。
しかし、住宅ローンを選ぶ上で注意したいのは、見た目の金利に惑わされないことです。住宅ローンを借りるにあたり、銀行へ支払うのは金利だけでなく、事務手数料や保証会社に支払う保証料や団体生命保険料など、様々な名目の諸費用があります。
金利を考える時は、見た目の金利だけでなく、諸費用も含めた実質金利で比べる必要があります。
住宅ローンを総額で比べてみる
実行金利は計算が複雑になるため、似たような指標でもある総支払額で比較してみましょう。
例えば以下のような2つのケースを考えてみます。
A銀行 金利:1.0% 融資事務手数料:借入額の2% 団信保険料:金利+0.2%
B銀行 金利:1.2% 融資事務手数料:32,400円 団信保険料:無料
これらの条件でそれぞれの総額を計算すると、A銀行は37,354,301円、B銀行は36,786,701円。見た目の金利はA銀行が0.2%安いものの、総額で考えるとA銀行の方が約57万円ほど高くなります。
実際に銀行のページを見ていると、大きく表面的な金利は載っているものの、表示の仕方が微妙に違ったり、それぞれの諸費用の金額も大きく違ったりします。
そんな時は以下のリンクを利用してみてください。
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返済プラン比較シミュレーション - 住宅金融支援機構
続きを見る
それぞれの支払い総額を3つまで比較計算することができます。最終的にどれにしようか迷った際に是非ご利用ください。
団体信用生命保険の中身も精査する
先ほどのA銀行が最終的な金額は高くなりました。じゃあB銀行にしようとなる前にもう一つ考えてもらいたいことがあります。それは、団体信用生命保険(以下:団信)の内容です。
団信は金融機関によって値段も保障内容も様々です。例えば、先ほどのA銀行の団信が、死亡以外にもがんと診断されたら・3大疾病で入院したらすぐに保険適用という内容で、B銀行は死亡のみだったとしましょう。
その内容を比べるとA銀行が約57万円高いだけだったのが、違った見え方になってくると思います。私が住宅ローンをご紹介する時は安い高いでなく、保障面からもお伝えするようにしています。
A銀行の団信の内容も実在し、金利上乗せで高くなるのですが、補償内容の厚さから総額が高くても選ぶ方もいらっしゃいます。この辺りはその方の価値感によるところですが、高い安いだけでなく団信の補償内容についても検討するようにしてみてください。
変動金利と固定金利、どちらを選ぶか
住宅ローンの選び方で必ず聞かれるのが、変動と固定のどちらにするかです。
先に結論を申し上げます。
変動と固定の差は、いまこれだけ開いている
2026年8月時点で、変動金利と35年固定金利の差は次のようになっています。
愛知県・借入4,000万円・35年・元利均等返済・自己資金500万円の条件で試算した金額です。
- 変動金利 年0.945% 毎月111,892円 総返済額4,699万円
- 35年固定 年3.640% 毎月168,578円 総返済額7,080万円
毎月の差は56,686円、総返済額の差は2,381万円です(出典:モゲチェック 2026年8月時点の掲載金利で試算)。
固定金利は、将来上がるかもしれない分をあらかじめ織り込んだ金利です。
いまはその織り込みが先行しすぎていて、変動金利との差が大きく開いています。
変動金利が固定金利と同じ3.640%に届くには、政策金利が現在の1.0%程度からさらに2.7%近く上がる必要があります。
そこまで上がる可能性がどれだけあるかを考えると、私はどちらかといえば変動金利を選ぶという立場です。
ただしこれは「変動金利なら安心」という意味ではありません。
変動金利は上がる可能性がある商品です。
だからこそ金利が1%上がったときの返済額を出して、それでも払える金額に借入を抑えることがセットになります。
この条件を満たせないのであれば、選ぶべきは固定金利ではなく、借入額を減らすことです。
すすめてくる相手の立場を確認する
住宅会社や不動産仲介業者の中には、借入られる金額が増えたり、見た目の返済額が低くなる変動金利をすすめてくるところもあります。
これは借入額を増やして物件価格を上げたいという動機から来ていることがあります。
同じ変動金利をすすめるにしても、理由が「金利差が大きいから」なのか「そのほうが高い物件を買えるから」なのかで、まったく意味が違います。
なぜそれをすすめるのかを必ず聞いてください。
答えられない担当者であれば、その提案は疑ってかかったほうがいいです。
変動金利の仕組みは理解しておく
変動金利には5年ルールと1.25倍ルールという仕組みがあり、金利が上がってもすぐには返済額が変わりません。
一見すると安心な仕組みですが、返済額が変わらないだけで、支払う利息が減るわけではありません。
仕組みを理解しないまま選ぶと、後から想定外の負担が出てきます。
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状況によっては選択肢が限られることも
またすべての方が、数ある住宅ローンの中から選べるわけではありません。例えば健康状態が原因で団信に加入できない方。転職して間もない方。正社員でなく契約社員などの非正規雇用の方、諸費用も借りたい方。
これらの方は借りられないわけではないですが、選択肢に制限があります。住宅ローンを時間をかけて選んだものの、健康状態が理由で最後の最後で住宅ローンが否決になってしまったら、それほど不幸なことはありません。
住宅ローンを検討する際は、一度ご自身の状況を客観的に見てくれるプロや、各地で開催されている住宅ローン相談会などで事前に相談したほうがいいと思います。
まとめ
いかがでしょうか?住宅ローンの種類は日本で4,000種類を超えると言われています。その中から自分の力だけで最適な住宅ローンを見付けるのは難しいかもしれません。
金利が低ければいいわけではありませんし、総額が安いだけでいいわけでもありません。あなたの状況や価値感によって選んでいくことも住宅ローン選びにおいては大切です。
他にもきちんとあなたの状況や価値感と向き合って、住宅ローン選びのポイントを示してくれるプロからアドバイスを得るというのも、住宅ローン選びにおいては重要なのかもしれません。
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いまの金利の状況を前提に考える
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後も段階的に政策金利を引き上げてきました。
2026年6月16日には無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促す方針が決定され、7月31日もこの水準が維持されています(出典:日本銀行「金融市場調節方針に関する公表文」)。
変動金利はこの政策金利に連動します。
「変動金利は変わらないもの」という前提は、すでに成り立ちません。
住宅ローンを選ぶときは、次の順番で考えてください。
1 金利が1%上がったときの返済額を出す
変動金利を検討しているなら、まずこれを計算してください。
その金額でも払えるのであれば、変動金利は選択肢になります。
払えないのであれば、固定金利にするか、借入額を減らすかのどちらかです。
2 保証料と事務手数料まで含めて比べる
表面の金利が低くても、事務手数料が定率型で借入額の2%台かかる商品があります。
保証料が無料の代わりに金利に上乗せされている商品もあります。
比べるのは表面の金利ではなく、総支払額です。
3 繰上返済の予定があるかどうかで決める
繰上返済を予定しているなら、保証料を前払いする方式のほうが有利になることがあります。
期間が短くなると保証料の一部が戻ってくるためです。
保証料が無料のタイプでは、この戻りがありません。
4 団信の内容を確認する
保障を厚くすると金利に上乗せされます。
すでに加入している生命保険と重なっていないかを確認してください。
よくある質問
変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきですか?
2026年8月時点では変動と35年固定の金利差が2.7%近くあり、総返済額では2,000万円を超える差になります。
私はどちらかといえば変動金利を選ぶ立場です。
ただし金利が1%上がったときの返済額を出して、それでも払える借入額に抑えることが条件です。
その条件を満たせないのであれば、固定金利にするのではなく借入額を減らしてください。
金利の低い金融機関を選べばいいですか?
表面の金利だけでは比べられません。
保証料、事務手数料、団信の内容まで含めた総支払額で比べてください。
ネット銀行と地方銀行はどちらがいいですか?
金利だけで比べればネット銀行が有利なことが多くなります。
一方で地方銀行は、物件の条件が難しいときや対面で相談したいときに強みがあります。
借り換えは考えたほうがいいですか?
金利差、残りの期間、残債の額の3つで決まります。
借り換えには諸費用がかかりますので、その費用を上回る効果があるかどうかを計算してください。
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宅地建物取引士、2級FP技能士、ホームステージャー2級
ハウスクローバー株式会社、スタイルイノベーション株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は17年。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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