住宅を売買するときに欠かせない存在となるのが、不動産会社やエージェントの存在です。
不動産会社が売主になっている新築マンションのような物件であれば、仲介を挟まず購入することも出来ますが、通常の取引はほとんどが仲介に不動産会社を挟むことが多くなります。
しかし不動産会社といっても、コンビニの数より多いと言われる業者の中で、どうやって見分けていけばいいのか不安に感じる方もいらっしゃると思います。
そこで、不動産会社はどこがいいか、選び方やその注意点についてお伝えしていきます。読者対象は、これから住宅を購入される方です。
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住宅はどこの不動産会社からでも購入できる
住宅の情報を探すときに、多くの方はSUUMOやHOMESなどといった不動産情報サイトを見ると思います。
その時に同じ物件を色んな不動産会社が掲載しているのを見かけたことはありませんか?
実は、これは不動産業界の仕組みが大きく関係しています。そこで、まずは不動産業界の仕組みから説明していきます。
不動産業界の仕組み
不動産売買は売主と買主、そして不動産会社によって成り立っています。
不動産業界の全体像
上の図は、不動産業界の全体像です。
まず一番左手の売主さんが売りたいと思った時に、不動産会社へ売却の依頼をします。この売却の依頼を受けた不動産会社は元付業者(もとづけぎょうしゃ)と呼ばれます。
そして、売却の依頼を受けた元付業者は次に「レインズ」と呼ばれる物件情報のデータベースシステムに掲載します。
レインズとは?
レインズは売主さんから売却の依頼を受けたを物件を掲載していくデータベースで全国の物件が集約されています。見ることが出来るのは不動産会社に限られます。
レインズに掲載するのは、媒介契約の種類によって掲載義務が生じないものもありますが、筆者の感覚として中古マンション、中古戸建てであれば9割以上掲載されています。
新築で売主である不動産会社が自社の営業マンを抱えて販売しているような物件はあまり掲載されていません。
そのレインズを見た購入者側につく不動産会社(客付業者:きゃくづけ)が自社の顧客に紹介したり、物件を借りて広告を掲載して集客を行ったりします。
このような仕組みになっていることから、同じ物件が色んな不動産会社の名前で不動産情報サイトに掲載されているようなことが起こりえるのです。
本質を言ってしまえば、住宅というのは基本的にはどこの不動産会社からでも購入することが出来ます。だからこそ、どこの不動産会社から購入するのかを検討することが重要になってくるのです。
物件量○○○件以上!はどこも同じ
例えば、ホームページやチラシなどで「物件情報量 地域No.1」とか「現在紹介できる物件○○○件以上!」なんてキャッチコピーを見かけると思いますが、あれはどこの会社でも同じです。
通常、自社が売却の依頼を受けている物件数はたかが知れています。どこもレインズの情報を見て物件の紹介を行っているに過ぎません。
扱える物件情報はどこの不動産会社でも変わらないので、この手のキャッチコピーは気にしなくても大丈夫です。むしろ、そういったキャッチコピーは物件で集客をしている業者の姿勢の表れでもあります。このような集客をしている不動産業者には気を付けましょう。
不動産会社のスタンスを知ろう
不動産会社の数は、現在コンビニよりも多いと言われていますが、不動産会社の中でも棲み分けがあります。
まず大まかに分けるのであれば、売買をメインにしているのか、賃貸をメインにしているのか、管理をメインにしているかで分けられます。
次に売買を主業としている不動産会社でも、買取再販をメインにしている業者や仲介をメインにしている会社に分けられます。
さらに仲介をメインにしている業者の中でも、売り物件をとることに注力している元付に強い会社や、購入者向けの仲介に注力している客付けに強い会社があります。
このように一言で不動産会社といっても、どういった業務を主力にしているかというスタンスを知ることが、まずは不動産会社選びの第一歩になります。
元付と客付に求められるスキルは別もの
なぜ不動産会社のスタンスを知ることが重要かというと、売買仲介の中でも、元付業者と客付業者に求められる知識やスキルは全くことなります。
売り主から物件を預かる元付業者で必要になる知識やスキルは、不動産取引の実務的なものになります。たとえば物件調査だったり、権利関係のとりまとめなどです。不動産を売却した時の税務の知識も必要になります。
買主から依頼を受ける客付け業者では、物件の資産価値や将来的なリスクの見極め、住宅購入で利用できる税制・補助金などの知識や手続きができるように実行援助をすること、住宅ローンの知識など幅広く求められます。
ある程度両方ともできる会社が大半ですが、それでも近年は中古住宅の流通量が増えるにしたがって、建築の知識や税制や補助金制度などが複雑化してきており、得意分野は徐々に分かれてきているように著者は感じています。
ですから不動産の選び方で、一番初めに考えるのは、どちらが得意が会社なのかを見極めることです。
売却に強い不動産会社の見極め方
売却に強い会社で一番わかりやすいところでいえば、大手不動産会社です。また地場の仲介業者で営業年数が長いところも、比較的元付をメインにやっているところが多いです。
不動産業界は元来、売主が強いと言われてきました。物件量が足りなかった時代、経済が右上がりだった時代、物件の所有者である売主を押さえておけば売上があがる時代がありました。買主はどちらかと言えば軽視されていたのです。
そういった不動産会社の名残もあって、営業年数が長い地場の仲介業者も元付がメインと予測することが出来ます。
ちなみに、営業年数が長いかどうかは、免許番号を見ればわかります。免許番号は通常「○○県知事(△)第××××号」という表記になります。県をまたいで支店がある会社では、県知事ではなく国土交通大臣になります。
この免許番号の「△」の部分の数字を見ると、営業年数がどれくらいあるかがわかります。1から順に免許が更新されるごとに数が増えていきます。
免許の更新は5年に1度なので、「1」となっていれば5年以内、「2」となっていれば6年以上10年未満と、営業年数を予測することが出来ます。
購入に強い不動産会社の見極め方
実際に住宅を探すときに強い味方になってくれるのは、購入に強い客付け業者です。
客付業者に強い業者は、当たり前ですが知識だけでなく経験やスキルが絶対的に必要になってきます。
客付けに強い不動産会社の見極め方として、元付に強くない方が客付けが得意です。
なぜかというと、元付をやっていないのであれば、客付けをやらなければ会社の売り上げは上がりません。
逆に売り物件情報が豊富な大手や、昔ながらの地場の仲介業者は、実は客付けはあまり得意ではありません。
私もよく客付けをするときに、元付をメインでやっている業者と取引をしますが、大半は私が何をしているか分かっていない方が多いです。
客付けに強い会社の特徴としては、免許番号が比較的若い会社が多いです。なぜかというと、大手や営業年数が長い不動産会社では、これまでのネットワークから売り物件情報をとることが出来ますが、新興企業ではなかなかそうはいきません。
大手不動産会社から独立してそのネットワークで商売を始める会社もあるので、免許番号よる見極め方は万能ではありませんが、ある程度の傾向としては有効であると考えています。
不動産会社はどこがいいか?選び方と注意点
不動産会社によって、得手不得手なことがあることはご理解いただけたと思っています。
ここからは実際に不動産会社を探すときの手順と選び方、またその時の注意点についてお伝えしていきます。
手順① 不動産会社のHPを見る
まず一番最初に会社のホームページを見ていきます。
今のご時世、ホームページくらい当たり前にあるだろうと考えるかもしれませんが、ホームページ自体が無いところや、あってもスマホに対応していない不動産会社も多数あります。
ホームページすらない会社は問題外として、まずは色んな会社のホームページを見ていきます。
見るときのポイントは、
- 物件情報や量は気にしない
- サービスの内容を注意して見る
- 経営者の顔は出ているか
などをチェックしていきます。物件情報や量はあまり気にしなくて大丈夫です。他の会社でも同じ物件を紹介してもらえるので気にしなくて構いません。
そのほか物件情報以外に、サービス内容をしっかり見ましょう。あなたの不安を解決してくれそうなサービスがあるかどうかを確認していきます。物件情報を無くしたら何も残らないようなペラペラのホームページの会社も、除いた方がいいです。
最後に経営者の言葉や顔がしっかり載っているか、というのも基本的なことですが重要なことです。特に地場の企業は社長が会社の顔でもあるので、信頼できそうな人か確認してみましょう。
社長が分かったらSNSなどで検索してみるのもひとつです。今の時代ならではの探し方ではないでしょうか。
手順②:実際に不動産会社を訪れる
ある程度、会社の数を絞れたら、実際に訪問してみましょう。
ホームページはお金をかければ良いものが作れますが、実際に会社に訪問して、ホームページで抱いた印象と変わらないか、雰囲気が悪かったり、事務所内が雑然としていないか、などをチェックしていきます。
ただし、訪問する時は突然訪問するよりも、事前に予約をしていくようにしましょう。突然でも対応はしてくれると思いますが、営業マンが外出していていなかったりすると、二度手間になることもあります。
手順③:担当者を見極める
不動産会社を訪れると、担当となる営業マンが応対をしてくれます。
一昔前であれば、人柄が良ければという風潮もありましたが、制度や税制や建築のことなど、高度な知識とスキルが求められる現代では、それだけでは不十分です。
不動産会社の営業マンは口が上手な人も多いので、惑わされないようにしてください。
弊社で開催している勉強会では、この担当者の本心や知識やスキルを炙りだす、魔法の質問についてもお伝えしています。ご都合の合う方はぜひご参加ください。
もし「少し違うな」と感じたら、担当者を変えてもらうか、他の不動産会社も検討してみましょう。
不動産会社を選ぶときによくある質問
実際に私も営業として顧客の住宅購入のお手伝いをしていますが、不動産会社の選び方について、よく受ける質問をご紹介します。
Q.不動産会社を途中で変えることはできるの?
ケースバイケースです。例えば不動産情報サイトで、元付業者に問い合わせをしている場合。このケースは難しいと考えてください。
不動産業界はあなたが思っている以上に横のつながりを大事にします。すでに元付業者に問い合わせてしまっている場合、横入りになりますので、この場合は理論的には出来ても、道義的な問題で難しいと考えてください。
逆に客付け業者はいくらでも変更することが出来ます。そういった意味でも、最初に不動産会社を選ぶメリットはあるのではないでしょうか?
Q.仲介手数料半額や無料の不動産会社ってどうなの?
たまに見かけますが、お客様から仲介手数料をいただかないということは、売主から仲介手数料をもらうしかありません。
自社で預かっている物件や、売主が不動産会社であるような物件であれば仲介手数料はもらえますが、そうでない物件についてはお客様からもらうしかないので、必然的に紹介してもらえません。
内覧の希望を申し伝えても難癖つけて見せてもらえない可能性が高いです。
それに、仲介手数料が半額もしくは無料ということは、受けられるサービスの質も高くはありません。
むしろ付加価値のあるサービスを受けて納得した上で仲介手数料を支払う気持ちでいた方がいいと思います。
3%の手数料をケチって住宅購入で後悔するようなことになってしまっては、元も子もありません。
まとめ
いかがでしょうか?住宅購入に欠かせないキーパーソンが不動産会社の担当者です。
物件そのものは、どこからも購入できる仕組みになっています。重要なのは「どこから買うか」という視点です。
他にも不動産会社には売却(元付)が強い会社、購入(客付)が強い会社があります。それぞれの特性を見分けて選ぶようにしましょう。
ホームページや実際に店舗を訪れて雰囲気など確認してください。最終的には担当者の力量になりますので、人間性はもちろんですが、知識やスキル面でも大丈夫そうか見極めるようにしてください。
多くの方が、賃貸と同じように、あまり意識せずに不動産情報サイトなどから直接問い合わせてしまっているケースが多いように感じますが、一生で一番高い買い物です。
賃貸と売買では失敗した時のダメージも、気を付けるべきポイントも全く違います。
失敗を避けるためにも不動産会社はしっかり選ぶようにしましょう。