この記事でわかること
- 「オリンピック後に安くなる」という予測が実際どうなったかが分かる
- 相場が下がるのを待つと何を失うのかが分かる
- 値下がりする物件と、価格を保つ物件の違いが分かる
- マンションと一戸建てで値動きの仕組みが違う理由が分かる
- 買う時期を何で決めればいいかが分かる
「家を買うならいつがいいのか」
住宅の購入を検討している方なら、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
かつてテレビやネット、雑誌では2020年のオリンピック後に不動産価格が落ちるという特集が数多く組まれていました。
この記事も当時、その予測を紹介していました。
結果から申し上げます。この予測は外れました。
しかも少し外れたという程度ではありません。
オリンピック後、不動産価格は下がるどころか大きく上がりました。
私は不動産業界で17年、住宅購入のご相談を受けてきました。
この記事では、当時なぜ「下がる」と言われたのか、実際にはどうなったのか、そしてそこから何を学ぶべきかを書きます。
「◯◯後に安くなる」という話を聞いて買うのを待とうか迷っている方に、いちばん読んでいただきたい内容です。
実際にどうなったか、データで確認する
まず結果を見ます。
国土交通省が公表している不動産価格指数は、実際の取引価格から算出される公式の統計です。
2010年の平均を100として、全国のマンション(区分所有)の指数は次のように動きました。
- 2013年9月(東京オリンピックの開催が決定) 108.3
- 2020年8月(本来オリンピックが開催されるはずだった月) 152.9
- 2025年12月(最新) 225.1
(出典:国土交通省「不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)」季節調整値)
2020年8月から2025年12月までで47.3%の上昇です。
オリンピックの開催が決まった2013年9月と比べれば、2倍以上になっています。
愛知県も同じ方向に動いています。
- 2013年9月 106.0
- 2020年8月 158.7
- 2025年12月 196.5
2020年8月から23.8%の上昇です。
「オリンピック後に下がる」と言われて買うのを待った人は、その後5年で2割から5割高い値段で買うことになりました。
待っている間に失ったもの
価格が上がったことだけが損失ではありません。
3,000万円の物件を買うのを5年待った場合、次のものを失っています。
- 家賃 月10万円なら5年で600万円
- 物件価格の上昇 愛知県の水準で2割なら600万円
- 住宅ローンの返済期間 5年分だけ完済が遅くなる
- 金利 2020年当時より変動金利は上がっている
待ったことで得られたものは、ありません。
相場が下がるのを待つというのは、この4つを賭け金にした勝負をしているということです。
当時、なぜ「オリンピック後に下がる」と言われたのか
ここからは、当時どういう理屈で「下がる」と言われていたのかを振り返ります。
理屈そのものは筋が通っていました。
だからこそ多くの人が信じ、買うのを待ちました。
同じ形の話はこれからも出てきますので、その構造を知っておいてください。
オリンピックが決まって何が起きたか?
まず東京オリンピックが決まったのは2013年です。その前の日本はというと、2011年に東日本大震災が発生し、過去最高の円高と不景気に苦しんでいました。
2012年に自民党政権が復活し、安倍内閣が誕生すると、流れが変わり株高、円安に動き出しました。不動産価格も2012年を底に上向き始めました。そんな状況で決まったのが、東京オリンピックだったのです。
東京に限らずオリンピックが開催される都市は、各国から人がたくさん来るので、開催地周辺が再開発されて利便性が増すことが多く、不動産価格が上昇します。
北京やロンドンでも同じような状況が発生しました。このオリンピック開催と景気上昇が合い重なって不動産価格が上昇しました。またこのころ、東京の沿岸部で大規模なタワーマンションの建設ラッシュが始まります。
この時に、実際に住もうと思って購入する人ばかりでなく、国内外の投資家が投資用として、また国内の富裕層が相続税対策としてタワーマンションをこぞって購入しました。
こういった背景によって日本の不動産価格は上昇を続けていくようになりました。
タワーマンションの相続税対策
タワーマンションは上層階に行けば行くほど価格が高くなりますが、固定資産税などの評価額は2階でも50階でも変わりません。相続税の計算はこの評価額が利用されるので、この差をうまく利用した節税対策が横行しましたが、今では是正され、相続税対策での購入は減少しました。
なぜオリンピック後に下がるのか?
実際に住むための購入ではなく、投資目的で購入した人たちは、最終的に利益を確定させるため売却をします。そのタイミングが、2020年に開催される東京オリンピックだとされていました。
詳しく説明していきます。日本では売却時に利益が出た場合、利益に対して税金がかかります。この税金を計算するときの税率が、所有期間が5年以内か、5年を超えるかで約2倍も変わってくるのです。
ちょうどオリンピックの開催が決まった2013年あたりから売れ出した新築のタワーマンションは、完成したのが2014年や2015年あたりなので、ちょうど5年後にあたるオリンピック前後に売り物件がたくさん出てくると予想されていました。
またオリンピック後には投資の材料が乏しくなるため、このタイミングで不動産価格が下がると言われるようになりました。
なぜ予測は外れたのか
当時この記事には「相場はオリンピックを待たずして崩れ始めてきています」と書いていました。
新築マンションの売れ残りが目立ち、中古の在庫が増え、大幅な値引きの話が出ていたのは事実です。
それでも相場は下がりませんでした。
理由は、当時の予測が投資マネーの動きだけを見ていたからです。
実際にはこの後、次のことが起きました。
- 建築費と人件費の高騰で、新築マンションの価格が下がらなくなった
- 新築が高すぎて買えない層が中古に流れ、中古の需要が増えた
- 新型コロナで住まいを広くしたい人が増え、住宅需要そのものが伸びた
- 低金利が続き、借りられる金額が大きいままだった
どれも2019年の時点で見通せたものではありません。
相場を動かす要因は多すぎて、一つの理屈で先を読むことはできません。
私は17年この仕事をしていますが、相場を当てられたことは一度もありません。
そしてこれは私に限った話ではありません。
当時「下がる」と言っていた専門家も、同じように外しています。
次の「◯◯後に安くなる」も、たぶん当たらない
オリンピックが終わった今も、「金利が上がったら下がる」「大阪万博の後に下がる」「団塊世代の相続が始まったら下がる」といった話は出てきます。
どれも理屈としては筋が通っています。
オリンピックのときも、理屈は筋が通っていました。
筋が通っていることと、当たることは別です。
こうした話を聞いたときは、次のように考えてください。
その予測が当たったとして、待っている間の家賃と、その間の金利上昇分を取り返せるだけ下がるのかということです。
たいていの場合、答えは「取り返せない」になります。
家探しを始める前に、担当者を選んでおく
同じ物件でも、どの担当者と進めるかで結果は変わります。ハウスクローバーは、全国の不動産エージェントを自分で見て、自分で選んで問い合わせできるサイトです。
- 無理なく支払っていける予算が分かる
- 担当者の実績や得意分野を見てから自分で選べる
- 物件検索を自動化して希望の物件を見逃さない
ハウスクローバーの登録・利用は無料です。成約したときに通常の仲介手数料がかかります。
価格が落ちる物件と、落ちない物件がある

ただし、すべての不動産が一律に値を下げるかというと、そういうことにはならないだろうと考えています。
もちろん、東京オリンピックを境に値を下げるエリアも出てくるかもしれませんが、終わっても値を上げたり価格を維持するエリアと別れていくと予想します。
価格を下げる物件
実際に価格を下げるだろうと考えられるのは、投資マネーが実需(自分で住むために買う)に比べて多く流入しているところは、投資マネーの流出によって価格を下げる可能性が高いといえます。
またここ最近、開発されて一気に戸数が増えたようなエリアも需給のバランスが崩れやすく、売りがそこまで多く出ていないければ影響は少ないかもしれませんが、売りが売りを呼ぶような状況になると一気に値を下げ始めるかもしれません。
たとえ東京オリンピックが契機にならなかったとしても、経済状況によっては一気に値を下げる可能性が高いエリアでもあります。
このような条件に当てはまるエリアにある物件では、価格を下げる可能性が高いといえそうです。
今後も価格を維持する物件
逆に今後も価格を崩さず、維持していく、もしくは値上がりをするようなエリアも存在します。
そもそも新築を建てる場所も余っていない人気エリアでは、今後も需給のバランスが取れることが考えられるため、価格が大きく下げることは考えにくいと思います。
価格が落ちない物件の見極め方
価格が落ちるエリアと落ちにくいエリアの違いが分かると、ある程度価格が落ちない物件の見極め方も分かってくるのではないでしょうか?
単純に住みたいと思える人が多いエリアかどうか、つまり需要があるかどうか、これに尽きます。
あまり人が住みたいと思わないようなエリアにある物件は今後値を下げる可能性が高く、需要があったとしてもそれを上回る物件量が供給されているエリアにある物件も値を下げる可能性が高いのではないでしょうか?
そういったエリアでない物件を探すことこそが価格が落ちない物件の要点になります。
金融商品に近いマンションと実需で価格形成される戸建
エリアごとの需給のバランスを考えることが重要ですが、物件種別によっても需給のバランスは変わってきます。
マンションの値動き
一般的にマンション、特にタワーマンションは、投資マネーが流入しやすいという特性から、不動産でありながら金融商品に似た値動きをします。
つまり実需での買いが弱い分、景気が悪くなれば一気に資金が流出し、価格を下げます。その様子はさながら株価のようです。
一戸建ての値動き
逆に一戸建ては投資マネーが流入しにくいと言われています。管理の手間やコストがマンションよりもかかることが多いためです。
投資マネーが流入しにくい一戸建ては、マンションに比べ実需によって価格が形成されるので、大きく値を上げることはないかもしれませんが、逆に大きく値を落としにくいという特性があります。
本当の価格や相場を見るときは、マンションよりも一戸建ての相場や価格推移を見た方が、実際の感覚に近いと思います。
相場でなく、自身や家族のタイミングを優先した方がいい理由

ここまで、色々と2020年の東京オリンピックを契機に値段が下がると言われている理由や、実際のところはどうなっていきそうかを説明してきました。
この記事を読まれている方は、住宅や不動産をこれから購入しようとしている方で、いつ購入したらいいのかを検討している方も多いのではないのでしょうか?
特に住宅を購入するときは、経済状況や相場観を読んで購入していくことも大事なのですが、正直なところ、ご自身やご家族のタイミングで購入した方がいいと思っております。
相場は生き物
まず相場というものは生き物です。ここまで色々と説明していきましたが、不動産価格に影響するのはここに書いてあることだけではなく、さまざまな要因が影響してきます。
2020年の東京オリンピックで値を下げるかもしれませんが、このままの相場が続く可能性もあります。つまり相場は結局のところ後付け論でしかなく、正しく予測することは不可能に近いのではないでしょうか?
そんな相場に一喜一憂して振り回されるよりも、ご自身やご家族のタイミングで住宅を購入した方が、結果としてはいいのではないでしょうか?
自宅投資という考え方は重要だとは思いますが、何も株を買うわけではないので、参考にする程度でよいのではないかと思います。
将来的な資産価値に気を付ける
短期的な相場による浮き沈みよりも、本当に気を付けるべきは、購入する物件の将来の資産価値です。
人口の減少や、家余りは短期的なトレンドではなく、長期的なトレンドです。そういった社会で、今後も価値を保つ不動産は一体どんな物件なのか?
相場は経済状況にもよるので、タイミングによるところも大きくコントロールできる部分が少ないですが、将来の資産価値を予測することについては、ある程度コントロールしやすいと考えられます。
つまり、自分でコントロールできないところを何とかしようとするよりも、自分にコントロールできる部分に集中した方が、結果としては良いのではないでしょうか?
ただ将来の資産価値でコントロールことは、どこのエリアでどんな物件を購入するかということです。ご自身だけでなく、プロの視点も活用しながら、後悔しない家探しを行うようにしてください。
まとめ
2020年の東京オリンピックで価格が下がると言われているのは、投資マネーの動きによるものです。
家を買うタイミングでいろいろ迷うこともあるかもしれませんが、自分でコントロールができない相場でタイミングを計るよりも、ご自身やご家族のタイミングで、将来の資産価値を考えながら購入することの方が、はるかに効果は高いのではないでしょうか。
これからの住宅探しに欠かせないのは、将来の資産価値を予測することです。そんな状況だからこそ、不動産仲介業者が果たす役割も大きくなってきます。
どんな物件を買うかということも大事ですが、どこから買うかというのも同じくらい大事です。もし色々迷っているのであれば、いろんなエージェントに話を聞いて、「この人」と思える人を選ぶようにしてください。
よくある質問
オリンピック後に不動産価格は下がりましたか?
下がりませんでした。
国土交通省の不動産価格指数(マンション・全国・季節調整値)は、2020年8月の152.9から2025年12月には225.1まで上昇しています。
なぜ「下がる」という予測は外れたのですか?
投資マネーの動きだけを見ていたためです。
実際には建築費の高騰で新築価格が下がらず、その結果として中古の需要が増えました。
新型コロナによる住まいへの需要増も重なりました。
これから相場が下がるまで待ったほうがいいですか?
おすすめしません。
待っている間の家賃と、その間の金利上昇分を取り返せるだけ下がるかを考えてください。
たいていの場合、取り返せません。
金利が上がったら価格は下がりますか?
下押しの要因にはなります。
ただし価格が1割下がっても、金利が1%上がれば総支払額はかえって増えることがあります。
見るべきは物件価格ではなく総支払額です。
結局、いつ買えばいいのですか?
自分の準備が整ったときです。
無理なく払える予算が決まっていて、条件を妥協せずに買えるのであれば、それが買い時になります。
買った後に価格が下がったらどうすればいいですか?
住み続けるのであれば、市場価格が下がっても毎月の返済額は変わりません。
問題になるのは売らざるを得なくなったときです。
だからこそ売りやすい物件を選んでおくことが、相場を当てるより大事になります。
そのマンション、管理は大丈夫ですか
管理組合の財政は、重要事項調査報告書や総会議事録にしか書かれていません。物件情報サイトを見ても出てきません。
- 重要事項調査報告書をアップロードするとA〜E判定が出る
- 将来修繕積立金がいくらまで上がるかが分かる
- 積立金の残高・滞納・借入・長期修繕計画の中身まで見る
登録は無料です。診断を実行したときに、初めて料金がかかります。

宅地建物取引士、2級FP技能士、ホームステージャー2級
ハウスクローバー株式会社、スタイルイノベーション株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は17年。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
▶︎▶︎ このエージェントに相談する ◀︎◀︎









