この記事でわかること
- 中古住宅は、売主が個人なら建物にも消費税がかからない
- 土地には、新築でも中古でも消費税はかからない
- 仲介手数料・リフォーム代・銀行の事務手数料には消費税がかかる
- 消費税がかからない物件は、住宅ローン控除の限度額が下がる場合がある
家を買うときに「消費税は結局いくらかかるのか」が分かりにくいと感じたことはないでしょうか。
不動産の取引では、消費税がかかるものと、かからないものが混ざっています。
しかも中古住宅の場合、同じ物件でも売主が誰かによって課税されたりされなかったりします。
私は不動産業界で17年、住宅購入のご相談を受けてきました。
この記事では、何に消費税がかかって何にかからないのか、そして中古住宅を買うときに注意すべき点をまとめます。
消費税がかかるものとかからないもの
不動産取引には、そもそも消費税がかかるものと、かからないものがあります。
一律でかかるようにお考えの方もいらっしゃいますが、かかるものとかからないものを知っておくことがポイントになります。
| 消費税がかかるもの | 消費税がかからないもの |
|
|
こちらの表を見ると、不動産取引といってもずいぶん消費税の取り扱いが違うことが分かると思います。
土地には消費税がかからない
土地の売買は、消費税の課税対象外です。
新築でも中古でも変わりません。
理由は、土地が「消費」されるものではないと整理されているためです(出典:国税庁「No.6201 非課税となる取引」)。
新築一戸建ての広告価格が5,000万円と書かれていても、そのうち土地が2,600万円であれば、消費税がかかるのは建物の2,400万円の部分だけということになります。
中古住宅は「売主が誰か」で変わる
ここが中古住宅でいちばん間違えやすいところです。
売主が個人であれば、建物にも消費税はかかりません。
消費税は事業者が事業として行う取引にかかるものだからです。
一方、売主が不動産会社(法人)の場合は、建物に消費税がかかります。
リノベーション済みの中古マンションは、不動産会社が買い取って再販していることが多く、この場合は課税されます。
広告に「消費税込み」と書かれているかどうかで見分けがつくことがあります。
分からなければ、売主が個人か業者かを仲介会社に確認してください。
物件以外にかかる消費税
物件本体に消費税がかからなくても、購入にともなう費用には消費税がかかります。
代表的なものは次のとおりです。
- 仲介手数料
- リフォーム・リノベーション代金
- 司法書士への報酬
- 銀行への事務手数料
たとえば3,000万円の中古マンションを個人から買う場合、物件には消費税がかかりませんが、仲介手数料には消費税がかかります。
仲介手数料の上限は「物件価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額なので、3,000万円であれば96万円に消費税を加えた105万6,000円になります。
物件が非課税でも、諸費用のところで消費税は必ず出てきます。
実際にいくらかかるのか計算してみる
言葉だけでは分かりにくいので、3,000万円の物件を例に計算します。
いずれも仲介手数料は上限額、リフォームは400万円、登記費用は30万円としています。
ケース1 個人が売主の中古マンション(土地1,200万円・建物1,800万円)
- 物件 消費税なし
- 仲介手数料 96万円+消費税9万6,000円
- リフォーム 400万円+消費税40万円
- 登記の司法書士報酬 10万円+消費税1万円
- 消費税の合計 50万6,000円
ケース2 不動産会社が売主の再販マンション(土地1,200万円・建物1,800万円・税抜表示)
- 物件(建物1,800万円) 消費税180万円
- 仲介手数料 売主直販なら0円のこともある
- リフォーム 実施済みのため0円
- 登記の司法書士報酬 10万円+消費税1万円
- 消費税の合計 181万円
数字だけを見るとケース1が有利に見えます。
ただしケース2はリフォーム済みですから、ケース1はこのあと400万円を別に払っています。
消費税だけを取り出して比べても意味がありません。
比べるべきは、リフォームまで終えて住める状態にしたときの総額です。
なお不動産会社が売主の物件は広告価格が税込表示になっていることが多く、その場合は表示された金額の中に消費税が含まれています。
税抜きか税込みかは必ず確認してください。
売主が個人か業者かの見分け方
広告や物件資料で確認できるポイントは3つあります。
- 取引態様 「仲介(媒介)」なら売主は個人のことが多く、「売主」と書かれていれば不動産会社が売主
- 価格表示 「税込」「消費税込み」の記載があれば建物に消費税がかかっている
- 仲介手数料 不動産会社が売主で直接購入する場合は仲介手数料がかからない
取引態様は広告に必ず書くことが宅地建物取引業法で決められています。
見当たらない場合は、その広告自体を疑ってください。
消費税がかからないほうが得とは限らない
「個人が売主だから消費税がかからない、その分お得だ」と考えたくなります。
ただしそれだけで判断すると損をすることがあります。
住宅ローン控除の限度額が変わる
住宅ローン控除では、消費税が課税される物件かどうかで扱いが変わる場面があります。
売主が個人の中古住宅は、消費税がかからないかわりに、控除の借入限度額や期間の面で新築や業者売主の物件より小さくなることがあります。
消費税を払わずに済んだ分と、控除で戻る金額の差を、両方見てから比べてください。
制度の中身は改正が入るため、購入年の条件は必ず確認が必要です。
-
-
中古住宅購入時に利用できる補助金・助成金・減税の一覧
中古住宅の購入で使える補助金・助成金・減税を2026年時点の内容でまとめました。すまい給付金と次世代住宅ポイントは終了、住宅ローン減税は控除率0.7%で築年数要件も廃止されています。いま使える制度と、 ...
続きを見る
リフォーム費用にはかかる
中古住宅を買ってリフォームする場合、リフォーム代金には消費税がかかります。
物件が非課税でも、500万円のリフォームをすれば50万円の消費税が発生します。
物件価格だけでなく、リフォームまで含めた総額で見てください。
比べるべきは総支払額
消費税は購入時にかかる費用の一部でしかありません。
住宅ローンの金利が0.1%違えば、35年で数十万円から百万円単位の差が出ます。
管理費や修繕積立金が月5,000円違えば、30年で180万円の差になります。
消費税の有無より、こうした継続的な負担のほうが金額としては大きくなります。
タイミングで税額が変わることはあるか
消費税率が変わる場面では、いつの時点で判定するかが問題になります。
住宅の場合、原則は引き渡しを受けた日の税率が適用されます。
契約が前でも、引き渡しが後であれば新しい税率になるのが原則です。
ただし請負契約(注文住宅やリフォーム)については、指定された日までに契約していれば引き渡しが後でも旧税率が使えるという経過措置が設けられることがあります。
これから先も税率が変わる可能性はゼロではありません。
そのときに慌てないよう、自分の契約が売買なのか請負なのかを意識しておいてください。
なお中古住宅を個人から買う場合は、そもそも物件が非課税ですから、税率がいくつになっても物件価格には影響しません。
影響するのは仲介手数料とリフォーム代の部分だけです。
贈与を受けて買う場合の注意点
親から資金の援助を受けて住宅を購入する場合、一定額まで贈与税が非課税になる制度があります。
この制度は、購入する住宅の種類や契約時期によって非課税枠が変わります。
省エネ等住宅かどうかで枠が変わる仕組みになっているため、物件を決める前に、その物件が非課税枠のどちらに当たるかを確認してください。
制度の詳細と適用期限は国税庁のページで確認できます(出典:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」)。
なお贈与を受けてから物件を探し始めると、期限に間に合わないことがあります。
先に物件のめどを立ててから、贈与を受けてください。
中古住宅を買うときに気を付けたいこと
消費税の話を整理すると、中古住宅は次のようになります。
- 売主が個人なら、物件には消費税がかからない
- ただし仲介手数料とリフォーム代にはかかる
- 非課税のかわりに、住宅ローン控除の枠が小さくなることがある
そのうえで、購入の判断で見ていただきたいのは税金ではありません。
その物件を持ち続けられるか
中古マンションであれば、管理組合の財政です。
修繕積立金が足りていないマンションは、購入後に値上げか一時金の徴収が待っています。
私は年間1000棟以上のマンションの管理組合を調査していますが、実感覚として3割くらいは「買わない方がいい」と判断しています。
消費税で数十万円を気にするより、こちらのほうが金額としてははるかに大きくなります。
売るときに困らないか
住み替えや転勤で手放すことになったとき、買い手がつく物件かどうかです。
駅からの距離、その駅の使われ方、そして管理の状態で決まります。
エージェントの役割がますます大きくなっていく
エージェントとは不動産仲介業者の担当者のことをいいます。
これまでに説明してきたように、住宅購入にかかわる制度は年々複雑さを増してきています。
しかも金額が大きいだけに間違えは許せません。しかし現実には、これらの制度をめぐるトラブルは数多く発生しています。
損か得を見極めることも大事ですが、それ以上にあなたの家探しをサポートしてくれる不動産エージェントをしっかり探すことの方が、家探しで失敗してしまうリスクを大幅に減らせるのではないでしょうか。
不動産会社や担当者の選び方は、こちらの記事をご覧ください。
-
-
不動産会社はどこがいい?住宅購入で失敗しない選び方
住宅を買うとき、同じ物件はどの不動産会社からでも買えます。だとすれば決め手は担当者です。購入に強い会社の見分け方、良い担当者とダメな担当者の違い、建売を買うときのルートと仲介手数料、おとり物件の見分け ...
続きを見る
よくある質問
中古住宅に消費税はかかりますか?
売主が個人であれば、建物にも消費税はかかりません。
売主が不動産会社(法人)の場合は、建物に消費税がかかります。
土地はどちらの場合もかかりません。
リノベーション済みマンションは消費税がかかりますか?
不動産会社が買い取って再販している場合は、建物部分に消費税がかかります。
広告の売主欄を確認するか、仲介会社に聞いてください。
仲介手数料に消費税はかかりますか?
かかります。
上限は「物件価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額です。
消費税がかからない物件のほうが得ですか?
一概には言えません。
消費税が非課税の中古住宅は、住宅ローン控除の借入限度額や期間が小さくなることがあります。
払わずに済んだ消費税と、控除で戻る金額の両方を比べてください。
土地だけを買う場合も消費税はかかりませんか?
かかりません。
ただし仲介手数料や登記の司法書士報酬には消費税がかかります。
住宅ローンの保証料や火災保険料に消費税はかかりますか?
かかりません。
登録免許税、不動産取得税、収入印紙も非課税です。
そのマンション、管理は大丈夫ですか
管理組合の財政は、重要事項調査報告書や総会議事録にしか書かれていません。物件情報サイトを見ても出てきません。
- 重要事項調査報告書をアップロードするとA〜E判定が出る
- 将来修繕積立金がいくらまで上がるかが分かる
- 積立金の残高・滞納・借入・長期修繕計画の中身まで見る
登録は無料です。診断を実行したときに、初めて料金がかかります。

宅地建物取引士、2級FP技能士、ホームステージャー2級
ハウスクローバー株式会社、スタイルイノベーション株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は17年。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
▶︎▶︎ このエージェントに相談する ◀︎◀︎









